かつて少年だった男───河嶋秀弥は、死ぬことを望んだ。

既に80を超える老齢となり、身体も満足に動かない。
生きる目的を見失っていた男はついに、自らの喉へナイフを突き立て、この世と決別する。
若かったあの頃に戻れたら、もう一度青春時代を過ごせたなら……そう願いながら。
だが意識が途切れる直前、少女のような声が耳に入った。

「ボクがその願いを叶えてあげる」

目を覚ました秀弥は、驚愕する。そこは60年前の世界で、身体も若返っていた。
実家に帰ると、亡くなったはずの両親や若かりし頃の姉が出迎えてくれる。

自らの願いが叶ったと、混乱しながらも歓喜しつつ自分の部屋へと入る秀弥。
だがそこには、かろうじて人型とわかる異形の怪物がいた。
震える秀弥の前で、怪物が言葉を紡ぐ。
あの時───意識が途切れる直前に聞こえた、少女のような声で。

「ボクは死神のオーグメント。死にかけていたキミの時間を戻したのはボクさ」

使命は、幸福の果てに亡くなった人間の魂を刈り取ることだと言う。
そう、望むのは秀弥の魂。願うのは秀弥の幸せ。
相反するような2つの思いを叶えるため、ここに来た。

追想の中、死神と共に奏でる幸せの行方は───