ずっと一緒に育ってきた人がいる。
河嶋秀弥は、姉である河嶋蓉子を慕っていた。
河嶋蓉子は、弟である河嶋秀弥を愛していた。

それはお互い、姉弟に対する感情として。
それはお互い、永遠に変わることが無かった。

だけどそれは、“死神”という異分子が入ったことにより、小さな亀裂が走る。
事情があったとは言え、秀弥はその手で蓉子に性的な絶頂を与えてしまったのだ。

亀裂は大きなひび割れとなり、それは大事なコミュニティの崩壊を招くことになる。
ずっと続くと思っていた。……いや、ずっと続いていたはずだった。60年後も、変わらず。

目の前で夜ごと繰り返される、姉の痴態。
それは、無視できないほどに淫猥で。ふしだらで。
耐えることがこの関係を護ることだとわかっていても、自分を思いながら姉がするその行為は、“姉弟”という感情を変えてしまうには十分だった。

何が正しいのか。自分はどう行動するべきなのか―――
だが秀弥には、それを判断する感情はもう残っていなかった。

河嶋秀弥は、大きく悩んでいた。

「先生と、エロいことをしてしまった」

裾野辺菜実に誘われて行った美波の誕生日会にて、
相手が酔っていたからとは言え色々と言葉に出来ないようなコトをしてしまった。
美波の妹である菜実の話によると、酒を飲んだ後は大抵のことを忘れているらしい。
その事に一縷の望みを賭けながら、秀弥は担任教師である裾野辺美波が
ホームルームに来るのを待ち続ける。

時を同じくして、裾野辺美波は大きく悩んでいた。

「教え子と、エロいことをしてしまった」

妹が自分のことを祝ってくれたという事実に浮かれ、
教え子である秀弥の前で酒を飲んだばかりか醜態をさらしてしまった。
いつもであれば都合の悪いことは大抵忘れているはずなのに、
今回に限っては運悪く覚えてしまっている。

そうして、本日何度目になるかわからないため息を吐きながら、
美波は自分の担当教室へ向けて重い足を引きずるのだった。

苦難を乗り越え、ようやく幸せな絆で結ばれた河嶋秀弥と陣紗月。
2人は今、幸せの絶頂にいた。

ある日、紗月の兄である友明から、
レンタルビデオ店のアルバイトを手伝ってほしいと頼まれる。
友明がゼミの短期合宿でいない間、妹と一緒に代わって欲しいということだった。

イヤイヤながらも仕方なく引き受けた秀弥は、その天才振りを発揮することとなる。
実は昔、似たようなバイトの経験があるためであるが、紗月以外にそのことは言えない。

周囲からもおだてられて調子に乗っていた秀弥だったが、
ある面倒が彼と紗月を襲うことになるのだった。

小さな頃から一緒で幼馴染みで容姿端麗で頭脳明晰。
そんな、誰もが羨むような彼女を持つ河嶋秀弥は、毎日が充実していた。

一方、そんな素晴らしい彼女である梅川詩帆は、秀弥にベタ惚れだった。
自分のためなら死をも厭わない……物語の中でしか聞いたことの無い、
そんな理想の男性が詩帆にとっての秀弥だったのだ。

そんな、周囲も公認のバカップルだった2人が、
秀弥の何気ないひと言によって暗雲立ちこめる状況になり―――

絶望の螺旋から恋人である裾野辺菜実を救い出した河嶋秀弥。
しかしそんな秀弥と菜実には、まだ大きな試練が立ちはだかっていた。
その試練の名は―――英語教師・裾野辺美波。

妹である菜実を愛する美波は、その愛情ゆえか、
しばしば常軌を逸する言動や行動を取ることがある。
我慢していればいずれは、と最初こそ思っていたが、それは一向にやむことはなかった。

そんなある日、自分たちを認めさせる方法は無いだろうかと秀弥は菜実と話し合う。
ろくな案が出ない2人に諦めムードが流れ始めた頃、
横で聞いていたオーグメントが意外な提案をする。
その意外な提案とは……?

現実を目の当たりにした、傷心の小林慶太。
ある日、家に帰ると1通の手紙が投函されていた。
そこには傷ついた自分を気遣う優しさが文面に溢れており、立ち直る希望を与えてくれた。

ひと言お礼が言いたい慶太は、手紙の差出人を探すことを決意する。
しかしただ闇雲に探しては見つかるわけが無い。
そう言えば……と、慶太は自分の境遇を知る3人の女性が頭に思い浮かぶ。

それは、シェリーヌの店員であり幼馴染みの弦田三久(つるたみく)
三久の親友であり、同じくシェリーヌの店員である武嶋咲弥花(たけしまさやか)
そして学園で隣の席に座る後藤万里(ごとうまり)

慶太の切なさが今、炸裂する―――